事業計画と聞くと、
「融資のために必要なもの」
「数字をきれいにまとめる資料」
そんなイメージを持っている方が多いかもしれません。
実際、サロン開業において事業計画は、借入(融資)の審査に通すために作るもの、という文脈で語られることがほとんどです。
だからこそ、
- とりあえず形だけ作った
- 数字はあとから何とかしようと思っている
- 審査が通ったら、もう見返さない
そんな状態になってしまいがちです。
でも、サロンを実際に開業してみると、必ずこんな瞬間が訪れます。
「この判断、本当に合っているのかな?」
「今、何を優先すべきなんだろう?」
そのときに支えになるのが、“審査のため”ではなく、“迷わないため”に作られた事業計画です。
この記事では、なぜ事業計画は「通すため」だけで終わらせてはいけないのか、そして、開業後に本当に役に立つ事業計画とは何なのかを、サロン経営の視点から整理していきます。
「通すため」に作った事業計画が、役に立たない理由
融資を目的に事業計画を作ると、どうしてもこんな状態になりがちです。
- それっぽい数字を並べる
- 実現できるか分からない売上を書く
- 厳しそうな部分は、少し曖昧にする
そして、融資が通った瞬間にこう思います。
「よかった、もうこの資料は終わり」
でも実はこの時点で、一番もったいない使い方をしてしまっています。なぜなら、その事業計画は開業後にあなたが迷ったとき、何も助けてくれないからです。
事業計画は「未来の自分のための判断軸」
事業計画の本当の役割は、金融機関や第三者に見せるための資料ではありません。
開業後の自分が、迷わないための地図です。
サロン経営では、必ずこんな場面が訪れます。
- 思ったより予約が入らない
- 広告を出すかどうか迷う
- 値下げした方がいいのか悩む
- メニューを増やすべきか考える
- このまま続けて大丈夫なのか不安になる
そのとき、感情や焦りだけで判断すると、経営は一気にブレてしまいます。

そこで立ち返る場所として、事業計画が必要になります。
「迷わないための事業計画」に入れるべき視点
事業計画は、立派な資料である必要はありません。
大切なのは、自分が判断するときに使えるかどうかです。
① どんな働き方をしたいのか
売上の前に、まず考えるべきなのはここです。
- 月に何日働きたいのか
- 1日に何人まで施術したいのか
- どんなペースなら無理なく続けられるのか
この視点が抜けた事業計画は、数字がどれだけ整っていても、後から必ず苦しくなります。
② いくらあれば「安心してサロン経営できるのか」
「いくら売りたいか」ではなく、生活費や税金・保険、貯金、心の余裕などを含めて、自分が安心できるラインを明確にします。この金額が分かっていないと、売上があっても不安は消えません。
③ どこにお金を使い、どこは使わないか
事業計画は、やることを決めるもの、同時に「やらないこと」を決めるものでもあります。
- 広告に使うのか
- 設備に使うのか
- 制作物に使うのか
優先順位を決めておくことで、開業後の無駄な出費や迷いを減らせます。
④ 想定外が起きたとき、どうするか
事業計画通りに進むことは、ほとんどありません。
- 予約が少ない月
- 体調を崩す
- 気持ちが落ちる
そんなときに、どこまで耐えられるのか、どこで立て直すのかを事前に考えておくことが、事業を続ける力になります。
借入審査のための事業計画も、無駄ではない
ここで誤解してほしくないのは、「借入審査のために作る事業計画は意味がない」という話ではありません。むしろ逆です。
- 数字と向き合い
- 現実を見て
- 計画を立てる
このプロセスそのものが、経営者としてのトレーニングになります。だからこそ、審査で終わらせないことが大切なのです。
事業計画は「作って終わり」ではなく「使い続けるもの」
良い事業計画は、売上が落ちたときや判断に迷ったとき、気持ちがブレたときに、こう問いかけてくれます。
「そもそも、何のためにこのサロンを始めたんだっけ?」
この問いに立ち返れるかどうかで、経営の安定度は大きく変わります。
まとめ|事業計画は、未来の自分を助けるために作る
事業計画は、借入を通すための書類ではなく経営で迷わないための判断軸です。
数字をきれいに並べることよりも、自分はどう働きたいのか、どんな状態なら続けられるのか、どこで踏ん張り、どこでやめるのかこれを言語化することが、事業計画の本当の目的です。
事業計画は、未来の自分へのメモ。
開業前に一度、「審査のため」ではなく「迷わないため」に作り直してみてください。
その計画は、開業後に何度もあなたを助けてくれます。







